インターネット事業を譲り受ける上での注意点(知財高裁H29.6.15)

近時M&Aが活発になっていますが、インターネット事業を譲り受ける場合には、特に競業避止義務に注意が必要です。

この点が問題になったのが、知財高裁H29.6.15です。

これは、インターネット事業を譲りうけたX社が、譲渡したYに対して、競業避止義務違反あるとして、会社法21条3項に基づく事業の一部差し止めと、民法709条に基づく損害賠償請求をしたものです。

第1審は、差し止めのみ認め、控訴審はさらに損害賠償請求も認めました。

判断の過程で、Y社がX社に事業を譲渡した後に継続した事業が、競業と言えるのか、また、仮に競業避止義務違反があるとして、Xの損害があるのかなどが問題となっています。

競業にあたるか否かは、判断が簡単でないことも多いです。特にインターネット事業は比較的簡単に広範囲の商品を扱えるので、判断が難しくなります。また、損害についても、顧客の範囲が明確でないため、顧客を取ったといえるのかどうかなどが、かなり判断が難しくなります。

そこで、やはり契約が大切になります。契約であらかじめ、競業の範囲や損害の推定条項などを入れておけば、紛争になることは避けられますし、買い手としても安心して事業を譲り受けられます。

近時、サイトなどを通じて、比較的小規模のM&Aも盛んなようですが、小規模の場合ほど、競業避止義務には注意が必要だと思われます。

譲り受ける側はもちろん、譲り渡す側も注意しましょう!

このあたりが法律の面白いところであり、難しいところです。

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