このページは、何故、株式(議決権)を集中させる必要性があるのかについて説明しています。
直観的に、経営を安定させるためには株式(議決権)を集中させるべきことはご理解頂けると思いますが、集中していない場合、どのようなことに支障をきたのすか確認をして頂ければと思います。
1 株式(議決権)を集中させる必要性
経営者が、3分の2以上の議決権を有していないと、以下のような重要な事項について単独で成立させることができません。
そこで、経営を安定化させるためには、少なくとも3分の2以上の議決権(株式)を保有していることが必要です。。
内 容 | 会社法上の条文 |
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定款変更 | 309条2項11号、466条 |
合併、会社分割などの組織再編 | 309条2項12号、776条1項ほか |
事業の全部又は重要な一部の譲渡 | 309条2項11号、467条 |
監査役の解任 | 309条2項7号、339条1項 |
譲渡制限会社における株式譲渡又は取得の承認 | 309条2項1号、140条2項 |
特定の株主からの自己株式の有償取得 | 309条2項2号、156条1項、160条1項 |
全部取得条項付種類株式の全部取得 | 309条2項3号、171条1項、175条1項 |
2 少数株主がいることによる不都合
3分の2以上の議決権を有する場合であっても、少数株主がいる場合、そのような株主を放置をすることによる主な不都合としては、以下の点が挙げられます。
そこで、対象会社に少数株主がいる場合、経営者が対象会社の株式を後継者ないし事業譲渡先に譲渡する前に、できるだけ少数株主を整理したおくことが求められます。
⑴ 少数株主の相続の発生リスク
当該少数株主に相続が発生すると、想定外の株主が出現する可能性が高くなります。また、相続人が複数の場合、株主が分散してしまいます。
⑵ 株式譲渡ができなくなるリスク
外部に株式譲渡(M&A)をする際に、少数株主がいると、譲渡に支障をきたします。M&Aで対象会社株式を譲渡する場合には、少数株主の整理は必須と考えたほうがいいです。
⑶ 少数株主権行使により経営に悪影響がでるリスク
少数株主には、以下のような権利が認められており、経営者との関係が悪化した場合に、経営に悪影響が出る可能性があります。
【少数株主権】
議決権割合等(定款で要件を緩和することは可能) | 権利(条文は会社法) |
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議決権の1%以上(公開会社では6か月前から引き続き保有) | 株主総会検査役選任請求権(306条) |
議決権の1%以上又は300個以上の議決権(公開会社では6か月前から引き続き保有) | 株主総会での議案提案権、議案通知請求権(303条2項、305条) |
議決権の3%以上(公開会社では6か月前から引き続き保有) | 株主総会招集請求権(297条) |
議決権の3%以上(公開会社では6か月前から引き続き保有) | 役員の解任請求権(854条) |
議決権又は発行済株式の3%以上 | 業務執行に関する検査役選任請求権(358条) |
議決権又は発行済株式の3%以上 | 会計帳簿閲覧請求権(433条) |
議決権又は発行済株式の10%以上 | 会社の解散請求権(833条) |